それでも町は廻っている/石黒正数

それでも町は廻っている 2 (ヤングキングコミックス)

それでも町は廻っている 2 (ヤングキングコミックス)

メイド喫茶全盛期の昨今、巷ではやたら「メイド萌え〜」とかいう言葉だけが流行った。でも正直、オタクからみてもその言葉は気持ち悪かったんじゃなかろうかと思う。「それ町」はそんなオタクとかメイドとかが関係ありそうで全然ない。
メイド喫茶でバイトする女の子二人組の話だけど、いわゆるオタクが好むようなメイド喫茶の描写は、一切出てこない。メイド喫茶は女の子の日常の一部として出てくるだけで、メインはその女の子を通した普通の生活から染み出してくる、まったりとした日常の幸せ。ドジな女の子の平和な日常がおもしろく描かれていて、とてもおもしろい。
自分が一番好きなお話が、2巻で女の子がトラックに轢かれてから天国に行き、天国での生活についての説明を一通り受けてから、自分が本当に死んでしまったんだということを改めて認識し、ボロボロ泣いてしまう場面。それまで平和な日常が描かれていた漫画なだけに、このシーンのショックは大きかった。
まぁ結局、メインテーマがまったりなだけに女の子は生き返ることになるんだが、軽いテーマも重いテーマもあっさりと読ませてしまう作者の表現力にすばらしいものがあると思う。最近読んだ漫画の中では文句なしの一番の傑作!