暇なバイトの時間つぶし

ホテルの夜間管理なんて客が来ない日は暇でたまらないから、ここぞとばかりに本を読んだりDVDを見たりするものの、あんまりつまらないと眠たくなってそのままウトウトして、タイミング悪く客がくるとかなりばつが悪かったりして、運の悪い俺なんかはほんとちょうどいい夢心地のところを起こされる。

眠たくなるような本を読んでる俺も悪いわけで、じゃあ眠たくならない本ってなんだろうって考えたらやっぱりエロに限るわけで。いやまぁ、エロって言ってもいわゆるエロDVDとかじゃなくって村上春樹とかの、「ほら、セックスってこんなに簡単に出来ちゃうんだぜ、あ、知らねーか、テメー童貞だもんな」系が童貞にはほんのり刺激的でいい感じ。

主人公は自称人付き合いが悪くて比較的無口な大学生で、友達も全然いないよ的なことを言うくせに、ちょっとかっこいい奴と知り合って気に入られたら、奴経由でナンパした女と一夜だけのセックスして、4〜5人と寝ておきながらもう飽き飽きだぜっ、ていうなんともわかりやすい棒と穴だけの関係がやたら出てくる本。

しかも大学で一人で飯食ってたら、全然知らない女に声をかけられて、「同じ授業とってるじゃん、ノート見させてよ」なんて言われたのがきっかけで、3回会ったらセックス。オマエは人付き合いも悪く、クラスでも孤立してるんじゃあなかったのか?、と。俺も大学ではいつも一人で飯を食ってるが、誰も声なんかかけちゃくれないぜ?レジのおばちゃんだけが俺の話し相手なんだが…。

春樹の本を読んでたら、やっぱり24にもなって童貞の俺は、駄目主人公にも劣る駄目人間なんだなってことを再確認し絶望に陥るも、哀しいかなセックス描写のところで股間はビンビンに反応してしまう。だからいっそのこと、こんな感情を捨てちまいたいと思う。いっさい役に立ったことのない動物の機能なんていらない。そしたらこんな哀しくて恥ずかしい気持ちなんか持つこともないのに。


ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)